日本の侵略的外来種(植物)


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アレロパシー:ある生物がほかの生物に対して影響を与えること。他感作用、遠隔作用。

パラコート:除草剤。成分はジメチルビピリジニウム二塩化物。接触すると茎・葉は1、2日で枯れる。きわめて毒性が強い。

ビオトープ:動物や植物が安定して生活できる生息空間。「bio(命)」と「topos(場所)」というギリシア語が語源。

陰樹:光に対する要求性が比較的低い(陰生植物の性質をもつ)樹木。

極相:植物の群落が生育するにつれて構成員が遷移し,最後にその地点における生態的条件に最適の植物種が優占種となり,安定した群落がつくられるにいたった状態。

極相林:植物群落が遷移を経て極相に達した林。群落全体で植物の種類や構造が安定し、大きく変化しなくなった森林。

原形質流動: 細胞運動の一種で、細胞内の原形質が流れるように運動する現象。

総苞:キク科植物の頭状花序などで花序の基部にできる多数密生した包葉の集まり。

* 2021/07/20.

和名・学名
位置付
出自・原産地→侵入地 被害の現状
アカギ
Bischofia javanica
東南アジア〜南西諸島→小笠原 トウダイグサ科アカギ属の常緑高木。1905年に沖縄より小笠原に移植され、製糖用の薪炭材として活用された。製糖業の機械化により放棄され、野生化した。樹高20m前後の高木で、陰樹極相林を形成し、種子は長期間生存する。そのため、台風で原生林が崩壊すると速やかに侵入して純林を形成する。弟島では全伐採で根絶。父島・母島でも全伐採を計画しているが、膨大すぎて難しい。
アレチウリ
Sicyos angulatus
特定外来生物
植物防疫法指定生物
北アメリカ→本土全域 ウリ科アレチウリ属の一年生つる草。1952年に清水港で発見された。北米からの飼料に混入していたといわれる。本土全域に蔓延し、河川敷や畑など、日当たりがよく腐葉土の多い土壌を覆い尽くす。同じ傾向にあるダイズやトウモロコシと競合し、手入れの行き届かない飼料畑では両者の争奪が見られる。果実は食用にならないが、ミバエに対する防疫措置を要する。
イタチハギ
Amorpha fruticosa
要注意外来生物
北アメリカ→本土全域 マメ科イタチハギ属の落葉低木。朝鮮経由で1912年に砂防・治水緑化のために導入した。1940年以後に導入が激化し、本土全域に定着した。マメ科植物共通の空中窒素固定に加えて耐熱・耐乾性に富み、5mの樹高でススキやマツ幼樹など他のパイオニア植物を圧倒する。逆に冷涼な気候にも対応しており、亜高山帯への侵略が懸念され、霧ヶ峰や白山では駆除を要する。
イチビ
Abutilon avicennae
要注意外来生物
インド→本土全域 アオイ科イチビ属の一年生草本。1905年に定着が確認された。本土全体に進出している。繊維作物として導入されたり飼料に混入したりして全国に広がった。日当たりのよい土地を好むため、畑や牧草地で作物と競合する。そのため、硬い繊維が農機具に絡まりやすい。特有の悪臭を放ち、誤って食べた乳牛の乳にまで異臭が移って商品価値を損ねる。
オオアレチノギク
Conyza sumatrensis
要注意外来生物
南アメリカ→本州・四国・九州 キク科イズハハコ属の二年生草本。1920年に東京で定着が確認された。本州・四国・九州全土に定着している。農業・商業的な利用は行われないため、非意図的な流入と考えられる。白い頭状花が目立ち、キク科特有の舌状花は総苞の中に隠れて見えない。名前の通り荒地に繁茂し、耕地にも侵入する。侵入個体は除草剤で処理されるが、パラコート耐性がある。
オオアワダチソウ
Solidago gigantea var. leiophylla
要注意外来生物
北アメリカ→本土全域 キク科アキノキリンソウ属の多年生草本。明治中期に園芸花卉として輸入されたが、逸出して野生化した。本土全体に定着し、北海道では同属のセイタカアワダチソウより優勢。セイタカより茎や葉の毛が少なく、花序もまばらで開花も早い。また、群落を作らず分散する。荒地や道端など各地に発生し、固有種を駆逐する。地下茎を持つため、地上部の刈り取りだけでは根絶できない。
オオオナモミ
Xanthium occidentale
要注意外来生物
北アメリカ→本土全域 キク科オナモミ属の一年生草本。1929年に岡山県で定着が確認された。本土全域に定着している。非意図的な流入と考えられている。棘のある実は衣服や獣毛に引っかかりやすく、子供達の遊びに用いられ、なじみ深い。しかし史前帰化植物のオナモミを駆逐している。家畜には有毒な成分が含まれ、誤って食べると食欲減退や中毒を招くため、牧草地では刈り取り駆除が必要となる。
オオカナダモ
Egeria densa
要注意外来生物
アルゼンチン→関東以西 トチカガミ科オオカナダモ属の多年生水中草本。光合成や原形質流動の観察でなじみ深い。1910年代に実験植物として導入され、「アナカリス」の商品名でアクアリウムに取り入れられた。1940年代から野生化し、関東以西で定着している。定着種は雄株のみで、茎の断片から栄養繁殖する。クロモなどの在来種を駆逐している。水中一杯に繁茂し、船舶の航行を阻害する水域もある。
オオキンケイギク
Coreopsis lanceolata
特定外来生物
北アメリカ→本土全域・沖縄 キク科ハルシャギク属の多年生草本。1880年代に園芸花卉として輸入された。外来生物法制定の直前まで品種改良が進められ、ガーデニングやワイルドフラワー緑化に用いられていた。沖縄を含む全国で定着している。積極的な移植が進められた結果、河川敷や線路際などを占有し、在来種を駆逐している。再生力が強く刈り取りに耐え、種子は数年生存するために根絶が難しい。
オオフサモ
Myriophyllum aquaticum
特定外来生物
ブラジル→関東以西・東北中部・北海道・沖縄 アリノトウグサ科フサモ属の多年生水中草本。1920年にドイツ人が観賞用に須磨寺の池に持ち込んだものが最初とされる。「パロットフェザー」の商品名でアクアリウムで親しまれたほか、水質浄化効果を謳ってビオトープに導入された。関東以西・東北中部・北海道・沖縄に定着する。オオカナダモと逆に雌株のみが導入された。同属の絶滅危惧種をはじめ在来種の駆逐が危惧される。
オオブタクサ
Ambrosia trifida
要注意外来生物
北アメリカ→本土全域・沖縄 キク科ブタクサ属の一年生草本。1952年に清水港で侵入が確認された。輸入飼料に混入していたと推定される。沖縄を含む全国で定着している。草本でありながら4mを超えることもあり、河川敷や荒地では固有種を駆逐しながら占有種となることもある。風媒花のブタクサ属による花粉症は夏から秋にかけて長期にわたり、花粉を撒き散らす。
オニウシノケグサ
Festuca arundinacea
要注意外来生物
ヨーロッパ→本土全域・沖縄 イネ科ウシノケグサ属の多年生草本。本来は牧草で、根茎で増殖するため、砂防緑化・法面緑化に応用され、沖縄を含む全土で定着する。1905年には侵入が観測された。戦後に耐乾性・耐寒性に優れた改良種「ケンタッキー31」がアメリカから流入したため、北海道や中央高地の亜高山帯にも侵入するようになり、根絶がいっそう難しくなった。
外来種タンポポ種群
Taraxacum
要注意外来生物
ヨーロッパ→離島を含む全国 日本固有のタンポポ属20種の脅威となっているのはセイヨウタンポポとアカミタンポポが主流で、いずれもヨーロッパ原産の多年生草本。セイヨウタンポポは1904年に流入が確認され、今や日本に自生するタンポポの8割はセイヨウタンポポと固有タンポポの交雑種といわれ、総苞片が反ったものは雑種と判断できる。局地的に分布する固有タンポポの多くが交雑や競合で危機的な状況にある。
カモガヤ
Dactylis glomerata
要注意外来生物
ヨーロッパ→本土全域・沖縄 イネ科カモガヤ属の多年生草本。英語名の「オーチャードグラス」でも知られる。明治維新期に牧草としてアメリカから北海道に導入され、沖縄を含む全土で定着する。ほぼ牧草として利用され、恒常的な輸入によって全国に広まった。耐熱性・耐乾性に優れ、種子は家畜の胃でも消化されずに糞に紛れて拡散できる。中央高地の亜高山帯に侵出し、固有種との競合が見られる。
キショウブ
Iris pseudacorus
要注意外来生物
ヨーロッパ〜中近東→本土全域・沖縄 アヤメ科アヤメ属の多年生草本。青系が主流のアヤメ属の中で例外的な黄色の花が珍重され、1980年代後半から観賞花卉として輸入された。ビオトープやワイルドフラワー緑化のために屋外にも移植されたものもあり、沖縄を含む全国に拡散した。カキツバタなど5種の絶滅危惧種を抱える固有アヤメ属との交雑が懸念されるほか、耕地への侵入も無視できなくなりつつある。
コカナダモ
Elodea nuttalli
要注意外来生物
北アメリカ→本土全域・沖縄 トチカガミ科コカナダモ属の多年生草本。1961年に琵琶湖で定着が確認された。沖縄を含む全国に定着している。節ごとに生える葉の数が3枚ずつなので、5枚ずつ生えるオオカナダモと区別できる。実験用・観賞用ともオオカナダモに大きく劣るため、導入目的は不明。同じく雄株のみの導入で、固有種の駆逐や航路・水路の閉塞を招く。貧栄養でも増殖できるため、尾瀬や中禅寺湖でも繁殖した。
シナダレスズメガヤ
Eragrostis curvula
要注意外来生物
南アフリカ→本土全域・沖縄 イネ科スズメガヤ属の多年生草本。砂防緑化・法面緑化を目的として1959年に四国農業試験場がアメリカから取り寄せた。沖縄を含む全国に定着している。水はけがよい土地を好み、河川敷ではよく発達する。川に流れた種子が下流に着岸し、上流から下流に向け占有していく。太田川や鬼怒川ではカワラノギクやカワナラニガナなど絶滅危惧種への圧迫が問題視されている。
セイタカアワダチソウ
Solidago canadensis var. scabra
要注意外来生物
北アメリカ→ほぼ全国 キク科アキノキリンソウ属の多年生草本。1897年に観賞花卉として輸入されたといわれる。1940年代に爆発的に増殖し、本土全域に広まった。養蜂業の発展や戦後の開拓・復興による空地の造成が原因とする説がある。1970年代に大繁殖し、代表的な帰化植物とされた。蜜源植物の側面があり、虫媒花でありながら花粉症の原因と疑われた。アレロパシーによって1980年代以後は衰退傾向にある。
タチアワユキセンダングサ
Bidens pilosa var. radiata
要注意外来生物
中南米→沖縄・小笠原・鹿児島県・高知県 キク科センダングサ属の多年生草本。幕末の弘化年間に観賞花卉として輸入され、園芸種として栽培されている。沖縄県全域・小笠原・鹿児島・高知に点在するが、野生種の自生は1963年に初めて記録された。1.5mまで成長し、直立から匍匐、最後にはつる性に姿を変える。通年開花で、棘のついた果実は着衣や動物の毛に着いて伝播する。沖縄ではサトウキビ畑に侵入し、サトウキビに絡んで刈り取りの障害となる。
ネバリノギク
Aster novae-angliae
要注意外来生物
北アメリカ東部→全国各地 キク科シオン属の多年生草本。大正時代に観賞花卉として輸入された。園芸品種の多いシオン属の中では人気薄で、全国的に散発的に野生化しており、園芸品種としては衰退傾向にある。他のキク科植物と同様、侵入速度が速く、固有の生態系を圧迫する。北海道では特に野生化が著しく、ブルーリストA3の重要懸念生物に分類される。胆振から日高にかけては大群落を形成する。
ハリエンジュ
Robinia pseudoacacia
要注意外来生物
北アメリカ→本土全域・沖縄 マメ科ハリエンジュ属の落葉木本。1873年に多用途樹木として輸入した。沖縄を含む全国に定着する。街路樹や庭木としてなじみ深く、「ニセアカシア」の別名を持つ。河岸防護林や海岸の防風林としての利用があるが、土着のヤナギやマツを圧迫し、制圧している所もある。一方で優良な蜜源植物でもあり、長野産蜂蜜の8割がハリエンジュに依存しているといわれ、養蜂業者は保護を訴えている。
ハルザキヤマガラシ
Barbarea vulgaris
要注意外来生物
ヨーロッパ→本土全域 アブラナ科ヤマガラシ属の二年生草本。1910年頃から植物園に移入された。全国的に伝播しているのは、穀類に混入した非意図的移入によるといわれる。本土全域に定着した。他のアブラナ科と同じく種子量が多く、根茎によって越年しながら群落を形成できる。水田や畑はもちろん、日当たりのよい荒地でも生育するため、亜高山帯に進出している。霧ヶ峰や礼文島では根絶駆除が行われた。
ハルジオン
Erigeron philadelphicus
要注意外来生物
北アメリカ→本土全域 キク科ムカシヨモギ属の多年生草本。近縁のヒメジョオンよりかなり遅く、1920年頃に観賞花卉として輸入された。全国に拡大を始めたのは1950年代で、本土全域に定着した。1970年代に除草剤被曝を受けた結果、生き残った除草剤耐性株が席巻している。耕作地や畦道・堤防・道端など、あらゆる土地に適応し、繁殖力が強い。刈り取りや踏み付けなどの物理的負荷にも耐性がある。
ヒメジョオン
Erigeron annuus
要注意外来生物
北アメリカ→本土全域 キク科ムカシヨモギ属の二年生草本。観賞花卉として幕末の1865年に輸入されたものの、鑑賞目的では普及せずに野生化した。本土全域に定着している。多年生のハルジオンよりも短命ではあるが、種子量が多く、根茎によって群落を形成する。根茎の再生能力は高く、地上部を刈り取ってもやがて根茎から再生する。亜高山帯への進出が目立ち、外来種根絶駆除活動でも対象となっている。
ボタンウキクサ
Pistia stratiotes
特定外来生物
南アフリカ→関東以西・沖縄・小笠原 サトイモ科ボタンウキクサ属の多年生草本。1920年代から観賞花卉として輸入された。戦後も「ウォーターレタス」の英語名でガーデニングやビオトープに導入された。関東以西・小笠原・沖縄に定着している。水面を覆い尽くすと、水中の水草が光合成できずに枯死し、生態系が崩壊する。走出枝から株分けで増えるため、駆除作業中に取りこぼした株から再生することもあり、駆除には手間が掛かる。
ホテイアオイ
Eichhornia crassipes
要注意外来生物
世界ワースト100
ブラジル→本州以南・沖縄・伊豆諸島 ミズアオイ科ホテイアオイ属の多年生草本。明治中期には観賞花卉としてのみならず、家畜飼料としても導入された。「ウォーターヒヤシンス」の別名でガーデニングやビオトープに導入された。伊豆・沖縄を含む本州以南に定着している。ボタンウキクサ同様に水面全体を覆って水中水草を枯らす恐れがある。一年生株もあり、一斉枯死による水質悪化や悪臭を引き起こす。
イチイヅタ
Caulerpa taxifolia
世界ワースト100
沖縄以南の太平洋・カリブ海→日本海など サンゴ礁に自生する海藻。本土には水族館展示・アクアリウムを目的に輸入された。自然界のイチイヅタは問題ないが、ヨーロッパの水族館で紫外線照射を受けた株は突然変異を起こし、耐寒性と毒性を得て「キラー海藻」と通称された。1984年にモナコの水族館から逸出した株は地中海全域に拡散した。草食魚やウニなどの草食動物が忌避するため、生態系が壊滅する。
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